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レンタカーでKAKADU国立公園へ。
車を借りてきたのはリーダー格のショウさんと写真家の佐山さん。
ランドクルーザーの後ろの座席が対面になってるバンだ。
雨期のあるこの地方では当然ディーゼル。
このランクル、燃料タンクが2個ついている。
フロントタンクとリアタンクの切り替えスイッチがあって、
片一方無くなったら切り替えられる。それぞれ90リットルで
合計180リットル入ることになる。航続距離2000kmは心強い。
でもKAKADUに行く程度なら両方入れても使い切らないから、
というレンタカー屋さんの言葉通り、リアタンクのみの
90リットル満タンで出かけることになった。
今回のメンバーは皆バスや飛行機の旅行者。バイクは僕だけ。
佐山さんは歳も上で仕事半分なので落ち着いて撮影に没頭しているが、
他のメンバーは全員ワーキングホリデーで、それぞれ都市での
アルバイトや英語学校の合間を利用してダーウィンに来たようで、
このKAKADUはのんびり気分で参加している。
運転手はリーダー格ショウさん。助手席は佐山さん。
後席は、向かい合わせ左右にそれぞれ、
節ちゃんとヨッちゃん、作田さんとハンマー君と僕。
さて車はこないだバイクで通ったStuartHighWayを南下。
あの暑くて暑くて本当に苦しかった灼熱の道を、
クーラー全開にしたランクルは快適に進んだ。
KAKADU方面へ左折しStuartHighWayを離れて東へ入る。
この道はず〜っと進めばジャングルで行き止まりなので、
また戻ってくることになる。
このレンタカー旅行に誘われるまで全然知らなかったのだが、
KAKADU国立公園は、クロコダイルダンディーのミックが暮らしている
ような本当のジャングルで、その自然の偉大さが有名となっている。
色鮮やかな鳥や、エリマキトカゲ、もちろんクロコダイルもいるらしい。
イエローウォーターというところで観光休憩。ガイドを申し込むと、
小さなボートに乗って湿地帯(大きな河なのかな)を案内してくれる。
すごい数の鳥と水牛みたいのがごろごろいる。
湿地帯は泥で濁っていかにも怪しげな水の色をしており、
いつワニが出てもおかしくない、といった雰囲気。
と、岸辺のほうをガイドさんが指差して、
「ワニがいますよ。見えますか」と言う。
でも何にも見えない。泥色の岸辺に廃木が転がっている感じ。
「もうちょっと近付いてみましょう。ワニは動いているものに
飛びかかる習性があるので絶対に騒がずじっとしていてください」
と言ってボートを岸に寄せると、いた!
遠目には分かりにくかったけど、廃木の間にワニが数匹いる。
でもよく見れば見るほど、目と口を開けたまんま全く動かない。
全くピクリともしない。本当に本物なのかと思うほど。
関西人の久保君が「あれ、作りもんちゃうん?」と皆を笑わせたが、
「し〜っ静かに」っとガイドさん。
ここでなんとハンマー君がなぜかもっていた棒で水面をバシャバシャ叩いた!
ガイドさんは本気で怒って「死にたいのか君は!?」と注意した。
ハンマー君、変わってる奴と聞いていたが、
やっぱり変わってるようだ。空気をよみなさい。
ボートトリップを終えると、ジャビルの町へ向かう。
小さい町だけどフードセンターもある。
もともとこのあたりはアボリジニの聖地。他の地方も同様なのだろうが、
ここは特に今でも文明を離れた生活をしているアボリジニがいるというから、
本当にジャングルの奥地なんだ。
ここで今夜のキャンプのための食料などを買い込む。
1人のキャンプと違って、和気あいあいと楽しくなる予感。
ショウさんと代わった久保君の運転でキャンプ場に到着。
まだ日が高いので、みんな思い思いにぼけっとするが、
思い切り熱帯雨林の真っ只中なので、虫も多いし、
なんとなく地面は湿ってるし、ごろ寝はできなかった。
テントを張ってそれなりに準備をして楽しく食事をとる。
普段1人じゃない人は、こういう時1人になりたいと思うのだろうが、
しばらく1人でテント張ってきた僕にとっては、
やっぱりこういう賑やかなキャンプは楽しい。
そうこうしているうちに夜も更けてテントに入ろうかという頃、
熱帯雨林特有の激しいスコールが。もうすごいったらない。
気付けばなんとテントは中までビショビショ。レンタカーと
一緒に借りた大きいテントだが、防水性能は悪かったようだ。
困り果てた8人。
豪雨も続いているので仕方なく全員ランクルに避難。
そのまま車中で過ごすしかなかった。
そうは言っても、後席は特に向かいの人と膝が当たるほどの狭さ。
そうそう眠れるものでもなく、なんとなく怪談をすることになった。
ちなみにこの夜、このキャンプ場には自分たち8人以外誰もいない
真っっっ暗なジャングルの中である。内容をよく覚えていないが、
ショウさんが怖い話を始めた。節ちゃんとヨッちゃんが怖がっており、
なんだか自分もつられてゾクッ。他の皆も黙りこくって聞き入っていた。
そしてショウさんが話し終える一瞬前、
コンコンコンコンコン!!!と外からランクルをノックする音がひびいた。
さすがにこの瞬間は皆声が出た。ギィヤァー!!
あのコンコンコン、本当に誰か外にいたのか、
それともメンバーの誰かが内側から自分で叩いて脅かそうとしたのか、
謎のままでいまだに分からないが、きっとみんな心の中では、
「たぶんハンマー君だ」と思っているに違いない。
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