とっくに走るのをやめてキャンプ場を捜す時刻だった。
夜はカンガルーが飛び出すかもしれないし、
大型トレーラに追い越される時も、暗くて本当に危ない。
でも、もう孤独で孤独で仕方なく、早く街の灯が見たくて
停まる(泊まる)勇気と余裕がなかった。
何にも見えない真っ暗な森で、近視の僕には、目印は色の薄い
センターラインだけ。
そうこうして暗闇と戦っているうちに、いつの間にか州境を越え、
クイーンズランド州(QLD)のサーファーズパラダイスまで
来てしまった。あのハワイと並ぶ有名なリゾート地なのよね。
でもそんなリゾートにかまっている余裕がない。
もう夜10時。この郊外の夜10時は、もう真夜中同然。
ブリスベンまであと100km。
停まれなかった。あと1時間でブリスベンなのだ。
真っ暗な闇の中、ただ人に会いたくて走った。
サーファーズを過ぎてからは車がたくさん走っている。
道もハイウェイからフリーウェイに変わり、
道路脇にフェンスが張ってあるので、カンガルー飛び出しの
危険も減った。
名もない丘を越えると、急にブリスベンの街の灯が見えた。
うぅぅぅぅぅぅおぉぉぉーーー着いたぞー!
公衆電話で滝さんに電話した。
「明日のはずが、もう着いてしまいました!」
ホテルの場所を聞きうろうろ走り回ると、
ほどなくホテルが見つかり、滝さんが玄関の前で手を振っている。
「あくちゃーん、なんだよ、明日じゃなかったのかい?」
「いやもう淋しいし怖いし暗いし寒いし・・・(べらべらべら)」
はしゃぐ子供のようにしゃべりまくってしまった。
日本語で自由に話せるってのは、こんなにいいものか、と実感した。
夜11時30分。
予定より1日早く、というか無理矢理夜中まで走り続けて、ブリスベン着。
滝さんの泊まっている長期滞在者用ホテル(クリベデンホテル)
にもぐり込んだ。
・・・続く
7/22 Taree〜Brisbane
走行
663km
給油
7.1L(Taree)、6.9L(Macksville)、10.5L(Grafton)、5.6L(Ballina)
燃費
約23km/L
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